決戦が終り、崩壊するその城の外。
脇を流れる河のほとりに、男は立っていた。
ぼろぼろになった体でその腕に抱きかかえているのは、決戦の最中気を失った男の弟子。
「こいつだけでも・・・」
他の仲間は、決戦の最中その命を散らせていった。残るのは男と、弟子の二人。
この身もそう長く持つまい。そう男は悟っていた。だからこそ。
丁度人一人程の木の板に弟子を乗せ、激しく流れる河の中へと足を踏み出す。
一歩、また一歩。踏み出す毎に体中の無数の傷跡から水が流れ込む。
最早男の体は、その河の流れに抗える程の状態ではなかった。
上手く河の流れに乗るだろう、河の中程までそれを押していったところで。急速に彼の体から力が抜けていく。弟子の乗った木の板が流れていくのを見送りながら、男は力尽き、河の中へと沈んでいった。
(ああ・・・これでもう悔いはない・・・)
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目が覚めると、彼女はどこかの河の畔、木の板の上にいた。
どこか・・・しかし見たことのある風景。そこは彼女と師匠である男が出会った場所であった。
「・・・・・・・・・・・・・・・師匠は?」
痛む体でゆっくりと起きあがると自分の置かれた状況を思い出す。あの決戦の時、私は師匠めがけて放たれた衝撃波をかばって・・・。そこからの記憶がない。仲間は・・・そして師匠はどうなったのだ。
数刻ほど歩くと、あの日旅立ったあの街が見えてくる。周りの歓声など耳にも入らず、彼女は街の奥、長老の家へとまっすぐ向かった。
「・・・・・・おおっ!無事だったか!!」
そう歩み寄ってくる長老に
「・・・師匠は、仲間はどうなったのですか」
と彼女は震える声で問いかける。長老は無言で首を振るとついてこいと促す。
ゆっくりと、震える体を引きずるように長老の後をついていった先にあったのは、墓。仲間の数だけの、十字架。
「数日前、城が墜ちたという知らせを受けてな。幾人か城に向かわせた。・・・そういう事だ。お前とあいつだけは見つからなかったのだが・・・」
その言葉を聞いて、彼女は膝から崩れ落ちた。
「・・・これじゃ・・・これじゃあ世界が平和になっても、なんの・・・・・・なんの意味も無いじゃないですか!!」
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というところで目覚める夢(ぉ。全く救いのないところで目が覚めたせいで非常に目覚めが悪かった。ちょっと脚色してみたらなんか凄く『選択肢どこかで間違って、この後弟子は師匠を捜す流浪の旅に出るED』みたいな流れになった。もしくはここからスタート、みたいな。
ちなみに師匠はもじぴったんのもじくんみたいな姿格好の人外で、その体は段ボールで出来ていた。段ボールに手足付き。決戦で段ボールは破れ、耐水性の体から水がしみこんでぶくぶくぶく・・・みたいな、大変コミカルなキャラクターなんだけど凄くシリアスなシーンだった。師匠格好良かった。これ書くだけで40分くらいかかった。死。