連日『only my railgun』のPVを繰り返し見続けている中。このPVに惹きつけられるのは何故なのか、そして何故こんなに再生されているのか、と考えてみたんだけど。
それは、PV全体から感じられる少し前の正統派ダンスチューン的な雰囲気と、その幻想をぶち壊す奇術サイドの能力者マギー審司。このコラボのミスマッチから起こる絶妙なギャップ。そこから生じるものが10万を超える動画再生数に繋がっているのではないか、と感じたのであった。
PVとして壊れていく世界。
動画の作りで言えば、少し前のm.o.v.eのPVでも見るかのようで。
何度かPVを見返していて、思い出したのはこのPV。今のアニメ主題歌系PVと比べても、やはり『少し古い』という印象を覚えてしまう。
しかしこのPVは時間が経過すればする程、その世界観を壊していく。一部ではあるが、画像付きで紹介したい。
01:14 スプーンを曲げる。
02:03 目からビームを発する少女。
02:19 体から磁力が発生しているかのように物質が引き寄せられていく男性。
02:25 時計を逆回転させると同時に、頸をぐるぐる回す男性。しかし、常人でも出来るタイプの回し方である。
02:28 またも目からビームを発する少女。
02:44 ペットボトルから水が噴射。
02:57 マギー審司が、その素顔をさらけ出す。
03:35 突如ゆで卵が空中を浮遊し始める。
03:49 三度目からビームを発する少女。それは螺旋を描く。
03:52 耳がでっかくなっちゃった!
03:53 ラッキーちゃん動き出す。
03:58 棒を空中浮遊させる。
04:00 南條愛乃と一緒に歌い出す。
04:10 ゆで卵を空中浮遊させる。
1コーラス目にはそういった要素を極力含ませず、2コーラス目から徐々に奇妙なイメージを含ませていき、3コーラス目でマギー審司を出す。3コーラス目以降は言わずもがな。
徐々に違和感を増加させていき、マギー審司登場でクライマックスにまで持って行く。マギー審司が唐突に出てきてその世界を壊すように見えるかも知れないが、その時点で既に世界は壊れてしまっていたのだ。そう思わざるを得ないPVの作りである。
マギー審司、という世界の選択。
こういった成功したPVに『もし』や『たられば』は不要なのではあるんだけど。
そもそもそういった要素がなかったならば単なる少し古めの実写PVとして、「なんでアニメじゃなくて実写なんだよ・・・」というような話題だけで終わっていたはず。例えば少し前にリリースされた『君の知らない物語』のような形で。
これに関しては「どんな特典映像が入っているのか」と期待が高かったが故の出来事かも知れないが。
もしそういった作りにするくらいならアニメダイジェスト+αの特典映像をバックに曲を流す、程度の方が無難だろう。勿論そんな無難なPVであれば、ここまで話題になることはなかった訳だが。
もしPV出演がオードリーとかはんにゃ等、今話題の芸人さんだとしたら。話題性を出す為に出演させたんだろうな・・・と逆に批判のようなものまで噴出した可能性がある。
勿論、昨今のアーティストPVには芸人さんが出るものも増えてきてはいる。が、なんらかの繋がりやファンであることを昔から表明していた人々ででもなければ、このCDを購入する層(所謂オタク層)には到底受け入れられる事もなく、むしろ「なんで**が出てんの?」というような流れになってしまう可能性もあるだろう。
もし、マジシャンが世間一般に認知されていて露出度の高い正統派マジシャン(例えばセロのような)だったら。ああ、マジシャン=魔術師サイド、という連想から出してきたのか・・・と、程度の注目度でここまで話題になることはなかっただろう。無難でかつ派手なマジックをPV内で披露しているな・・・という印象しか残らないはずである。
もしマギー司郎師匠だったら。出演することによるインパクト自体は非常に大きいものになる(PV全体とのギャップが非常に大きくなる)が、マジックのアクション的な問題でPV上での見栄えはどうしても低下する。代表的なマジック、「縦縞のハンカチを横縞にする」といったようなアクションでは、実際にPVで使用されている「耳がでっかくなっちゃった!」「空中浮遊」のようなインパクトまでは届かない。
そういった部分を考慮すると、マギー審司というチョイスは絶妙過ぎるものであったのではないだろうか。
最後に。
fripSideの新ボーカル南條愛乃さんがドワンゴアーティストプロダクション所属なので。元々ニコニコ動画等の動画サイトでUPされることを前提にネタを仕込んだ部分があるのではないだろうか、とは思います。
権利者削除されないのもこれか・・・と思ったけど、そもそもPV関連は削除されていたりされていなかったりで基準が微妙でした。
こういった形式の『奇をてらった』PVが、もう1回くらい制作されるような気がしますが。やはり変化球だけに、やりすぎると諸刃の刃になる可能性もあります。飽きられてしまう可能性も当然あるので、使い方を間違わなければ・・・と思います。
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